• TOP
  • ≫ ワークダイバーシティ

ワークダイバーシティ

会計ダイバーシティでは働き方の多様性(ワークダイバーシティ)を支援しております。
勤務をしていると、現職の業務中心でなかなか他業界、異職種の情報は入り難いことと思います。
様々な職種(業務内容)や勤務スタイル、海外勤務例などを紹介してまいります。ご自身の今後のキャリア形成の参考として頂けますと幸いです。

【海外トレンド発信】中小企業向け会計ソフトQuickbooksが銀行業に進出

2021年1月14日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

世界で最も普及している中小企業向け会計ソフトQuickbooksが銀行業に本格進出した。今までもクレジットカードの決済銀行としての機能は持っていたが、普通の預金口座まで提供するようになり話題となっている
銀行っぽくない銀行口座
「Quickbooks Cash」とうサービス名称で、一見すると銀行というよりPaypalのようなサービスに見えるが、十分な機能を備えた銀行口座だ。




Quickbooks Cash
https://quickbooks.intuit.com/payments/business-bank-account/


通常は法人口座を開設するには銀行の支店にアポを取った上で訪問し、バンカーの部屋で色々な手続きをして1時間ほど費やし、やっとの事で開設できる。しかしこのQuickbooks Cashはオンラインで全て完了。最低残高の規定もなく月額のフィーもなくACH(アメリカの銀行間送金)も無料という既存の銀行では考えられない便利さだ。それでいて$250,000まではアメリカ政府(FDIC)の保証がつくので中小企業にとって便利で安心な口座だ。

便利な機能が目白押し
会計ソフトと銀行口座がセットになると会計業務がとても便利になる。例えば支払いは会計ソフト記帳時にそのまま「支払い」ボタンをクリックすれば支払いが完了する。通常は銀行のオンラインバンキングにわざわざ行かないといけないが、その手間が無くなる。また、売掛金の消込も銀行口座に入金されたら自動的に記帳まで行ってくれるのでほぼ全自動となる。小切手の預け入れもスマホアプリからできるようになっている。
最終的な狙いは与信か?
クラウド会計ソフトが銀行機能を持つようになると、いよいよ最終的には会計データを分析して与信&貸付が可能となる。会計ソフト内のデータと口座内の資金の流れをクラウドを通して全てライブで把握できるので、与信や貸付管理としてはこれ以上ない精度になるだろう。

クラウド会計ソフトの銀行化は以前から言われていた事だが、ここへ来ていよいよ本格的になってきたようだ。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
●●
ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

ワークダイバーシティ記事一覧

※ 過去のワークダイバーシティ記事一覧はコチラからご覧ください。