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【海外トレンド発信】確定申告のフランチャイズ『H&R BLOCK』が400店舗閉鎖へ

2018年6月25日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

アメリカ人達にとって確定申告と言えばH&E BLOCKという程世の中に浸透している確定申告のフランチャイズチェーンが、この程400店舗の閉鎖に踏み切るというニュースが入ってきた。

H&R Block to Close 400 Locations
https://www.wsj.com/articles/h-r-block-to-close-400-locations-1528918588



***1年半前にこちらの会計ダイバーシティでも同社のAIを使った取り組みを紹介したばかりだが、その取り組みが思った程の効果を出さなかったのだろうか。***

遂にAI(人工知能)が税理士に! H&R BlockがIBMワトソンを導入
http://www.kaikeidiversity.jp/ai-tax.html

H&R BLOCKのAI導入の試み

2017年のTaxシーズンにH&R BLOCKは満を持して自社の確定申告システムにIBMのワトソンを導入した。それは「もう確定申告は会計士じゃなくてAIがやりますよ」というセンセーショナルなメッセージとなり、同年のスーパーボールでも大々的なテレビコマーシャルを打った。店舗型フランチャイズ確定申告サービスの同社は、来客する顧客に担当者が応対する代わりにワトソンに応対させようという試みだった。斬新で会計業界内でも話題となった。
予期しなかったライバルの動き

一方、H&R BLOCKの最大のライバルはもはや会計事務所や確定申告事務所ではなくオンラインサービスの『Turbo Tax』だ。自宅でパソコンを使って申告ができてしまい費用もその分安いが、誰の手も借りずに自分で完結しなければいけないため、ITや数字が苦手な人には敬遠されていた。ところがこのTurbo taxはH&R BLOCKとは真逆の方向に舵を切った。オンライン上で会計士がちゃんとできたかどうかレビューしてくれるサービスを導入したのだ。生身の人間とオンラインで話ながら申告を進める事ができるという事で、今まで自力で申告する事に躊躇していた人たちの取り込みを図った。全米のかなりの数の会計士と業務委託をしているようなので採算の如何は不明だが、一度Turbo taxを使うと翌年意向も続ける傾向があり、また翌年は顧客も慣れてくれるのでサポート量も減るだろうと考えると有効な試みだったのではないだろうか。H&R Blockの店舗にわざわざ行ってワトソンとやりとりするよりも、自宅でオンラインで生身の会計士とやりとりする方が安心できると考える人も多そうだ。
予期しなかったトランプの動き

H&R BLOCKにとって更に悲劇となったのがトランプ大統領の税制改革だ。「確定申告をできるだけシンプルにしよう」というトランプ大統領の施策により、「そんなに簡単になるなら自分でやってみようかな」と考える人も多くなる事が予想される。今年の確定申告シーズンにこの打撃を受けると読んだH&R BLOCKは、前倒しで店舗削減によるコストダウンに踏み切ったのだろう。

会計や税務業務のAI化は確実に進行していくのだろうが、その過程では様々な紆余曲折があるのかもしれない。
顧客というよりアプリユーザー

会計事務所にとって顧客の獲得と維持はとても大事なテーマだが、このAgilizeの場合もはや顧客というよりアプリユーザーだ。顧客にとってもAgilizeは会計事務所というよりひとつの『アプリ』なのだろう。アプリであれば何となく気軽に始める事ができそうだ。顧客獲得の容易性、そしてスケーラビリティの高さという点でアメリカでも注目されているのかもしれない。

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