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【海外トレンド発信】その文章は本当に人間が書いたものか? GPT-3の衝撃

2020年12月11日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

今年の8月にあるブログ記事がシリコンバレーで話題となった。コンピューターサイエンス系の人達の間で有名なウエブサイトに投稿された記事で、記事自体は全く普通の良くあるタイプの専門技術に関するものだった。ところがある読者が「この記事ってもしかして、AIが書いたのでは??」とコメントした事で一気に火が付いた。
もの書きAI GPT-3
疑惑はその後解明され、GPT-3というAIシステムがこの記事を書いた事がわかった。カリフォルニア州立大学バークレー校の学生が、単にGPT-3の実力を試したくて実験的にブログ投稿した記事であった。彼曰くこの実験結果は恐るべきもので、約2万人がこの記事を読んだにも関わらず「何かおかしくない?」と気づいたのはたったの3人だったそうだ。GPT-3は今年7月にOpenAIというAI研究機関がリリースしたシステムだ。これまでも自然言語を操るAIは存在したが、このGPT-3はとても質の良い文章を書くという事で一気に広まったそうだ。6千万以上のウエブサイトを機械学習させているこのGPT-3は、システム自体が何かを考え出す事はできないが、人が考えうる事を予測したり、その考えから次に来る考えを予測したりして文章を書く事ができるらしい。


AIのパワーと弱点
GPT-3はインターネットを介し数限りないWikipediaの情報や学術情報などを学習できる。そのスピードと学習量は人間には到底かなわない。これがGPT-3のパワーだ。一方で、人間に備わっている判断力がまだGPT-3には十分備わっていないようでこれが弱点だ。Wikipediaの情報も確実に正しいわけではない事からもわかる通り、インターネット上に正しい情報も誤った情報も詐欺的な情報も溢れている。それらを強弱を付けずに同じように学習してしまうのがGPT-3の弱点のようだ。イギリスの薬学関係者がGPT-3を使って文章を生成しようとしたところ、不正確な内容の事をいかにも正しいと主張するような文章ができあがってしまい、まだまだ実用的ではないという意見もある。

情報の正誤の判断は人間でも人によって大きな差がある。その差を生んでいるのはやはり知識量の差の場合も多い。そう考えるとGPT-3も豊富な知識量を活かして「この情報は信頼に値する」というような判断を将来できるようになるのかもしれない。
企業側で高まるコロナリスク
企業のコロナ対策への意識は地域によっても人によっても千差万別で、完璧というには程遠い企業の方が多いだろう。イリノイ州やウィスコンシン州にある私のクライアント企業でも、職場でマスクをしている人は数える程だ。この状態で誰かが感染し、職場内感染から家庭内感染へと進んでいき誰かが亡くなった場合「あの会社の職場環境のせいだ」と考えられても不思議はない。この訴訟のニュースが話題となった今では、多くの人がそう考えるのではないだろうか。当然それを先読みして『成功報酬のみでコロナ持ち帰り訴訟を請負いますよ』とテレビCMを打ってくる弁護士達も出てくるだろう。そうなるとダメ元でも訴えてみようという人達が大勢出てくる可能性もある。

今後雇用主はコロナ対策に万全を期し、その記録を証拠としてとっておくような措置が必要になってくるだろう。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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