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ワークダイバーシティ

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【海外トレンド発信】まずは『デジタルでできないか?』からスタート

2020年11月18日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

ウォール街では今、1ドルの価値が大きく揺らいでいる。ある企業の1ドルは普通に1ドルの価値として認識されるが、Zoomのような企業の1ドルは何と90ドルとして評価されるようになった。同じ1ドルが90倍にまで膨らんで評価される理由は何か、それは“デジタルか否か”にかかっているらしい。CFO.comの以下の記事でそのからくりが紹介されていた。



Digitally Innovate to Create Real Value
https://www.cfo.com/technology/2020/09/digitally-innovate-to-create-real-value//
流行っているから高評価 ではない
昔なら、流行っているという理由だけで企業価値が上がったが、今は違うらしい。デジタル経営に舵を切っている企業が評価される理由の一つはその“柔軟性”だそうだ。アメリカのファーストフードチェーン『Chipotle』の例が出ていたが、この企業はパンデミック前からデジタル経営に取り組んでいて、スマホで購入し店舗でピックアップか配達というフローを作っていた。そのためパンデミック後も健全な経営ができているそうだが、元々は非常時への備えというよりデジタル化により経営の柔軟性を高めようとしていたそうだ。デジタルであれば需要に応じてスケールアップする事ダウンする事も容易でリスクも少ない。パンデミック後に多くの企業がデジタル化へ動いたが、多くは実店舗などの固定費を抱えたままなのでその効果は限定的だ。


多くの耐性を備えるデジタルモデル
Zoomがこれだけ評価されているのは、世界中に一気に普及したという理由だけではないらしい。これだけ爆発的に需要が増えたにも関わらず、大きな障害がなく経営が保たれている点も大きいようだ。考えてみると確かにこれは凄い事かもしれない。昔なら簡単に繋がらなくなったり途中で切れたりという事が起こっても不思議ではない。パンデミックに備えてインフラを整えていたわけではないはずなのに、爆発的に需要が増えてもインフラ的にも経営的にもそれに耐えられるのはZoomのサプライチェーンや経営モデルが完全にデジタルだからだ。逆に今後ライバルが続々と登場しシェアを奪われ始めたとしても一時的にスケールダウンして損失を避ける事は容易にできる。

この記事を読んで、これはウォール街の評価を気にする企業だけではなく、どんな規模の企業でも考えていくべき事のように思った。パンデミックも予想外の事だが、これからの世の中は新しい技術やカルチャーが市場をガラッと変えてしまう可能性がある。企業が生き抜くためには、左右前後に揺さぶられても耐えうる柔軟性を備える必要がある。そのためには、多少の効率やコストを犠牲にしてもデジタル化や変動費化に取り組む事が必須のように思われる。
企業側で高まるコロナリスク
企業のコロナ対策への意識は地域によっても人によっても千差万別で、完璧というには程遠い企業の方が多いだろう。イリノイ州やウィスコンシン州にある私のクライアント企業でも、職場でマスクをしている人は数える程だ。この状態で誰かが感染し、職場内感染から家庭内感染へと進んでいき誰かが亡くなった場合「あの会社の職場環境のせいだ」と考えられても不思議はない。この訴訟のニュースが話題となった今では、多くの人がそう考えるのではないだろうか。当然それを先読みして『成功報酬のみでコロナ持ち帰り訴訟を請負いますよ』とテレビCMを打ってくる弁護士達も出てくるだろう。そうなるとダメ元でも訴えてみようという人達が大勢出てくる可能性もある。

今後雇用主はコロナ対策に万全を期し、その記録を証拠としてとっておくような措置が必要になってくるだろう。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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