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【海外トレンド発信】国境を超えたリモート社員雇用を支えるGEOサービス

2020年10月21日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

テレワークが浸透し皆がリモートで業務を進めるようになると、国境を超えた人材採用も多くなる。弊社でもオランダとイギリスにスタッフがいるのだが、いつも最初に問題となるのは“給与支払い”であった。国内であればその国の法律に則って所得税や社会保険などを源泉徴収したり申告したりするのが普通だが、法人を持っていない国のスタッフにはそれができない。そこで通常は“個人事業主”というステイタスになってもらい源泉徴収などは一切せず全額を支払う事が多い。普通はこれで良いのだが、人によってはこれがネックになり採用できない事もある。
普通の給与がいい人達
税務に少し詳しい人であれば、個人事業主の税務メリットの大きさを良く知っている。仕事に使うものは殆どが経費計上できるため、課税所得を大幅に減らす事ができるからだ。なので本当は個人事業主の方が良いはずなのだが、給与所得しか経験した事がない人にとってはこれが良く解らなくてなかなか面倒らしい。「イギリスで普通の給与の形で支払ってもらえませんか?」という事を言われたのだが、そもそも弊社はイギリスには法人を持っていないので給与支払いも源泉徴収もできない。


GEOサービスが“現地給与”を実現
もしどうしてもイギリスで給与という形での支払いをするのならば、どこかのイギリス企業にお願いをしてその企業から給与を支払ってもらい、こちらから何らかの形でその企業に費用プラスアルファを送金する以外に手はない。しかし他社の従業員を形式的に雇うなど、何か起こったら雇用者責任が発生してしまいそうなのでなかなか受け入れてもらえない。そこに目を付けてビジネスをしているのがGEOサービスだ。このところヨーロッパでよく目にするようになり気になっていたのだが、やっとその正体がわかった。
形式雇用をサービスにするGEO
“Global Employment Outsourcing”というのが正式なサービス名というか業界名で、国境をまたいだ雇用が多いヨーロッパでこのところ存在感を増している。彼らは各国に法人を持ち、例えば各国の法人で弊社のスタッフを形式的に雇ってくれ、現地の法律に即した給与支払いを行ってくれる。あくまでも形式的な雇用なので、実際の業務は弊社の社員として行うのだが、給与だけはGEOから支払われるというスキームだ。GEOは雇用者責任など色々な責任を負う事になるので、それ相応のフィーを徴収しそれが彼らの利益となる。割高にはなるが“普通の給与がいい”という従業員にとってはありがたいサービスだ。

今後は給与提示時に、個人事業主ならこの金額、GEOを使った給与払いならこの金額という形で従業員側が選べるようにするのも良いかもしれない。GEOの台頭で国境をまたいだ雇用のハードルがまた一つ取り除かれたような気がする。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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