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【海外トレンド発信】海外子会社のガバナンス(攻め編)

2019年1月31日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

日本でもコーポレート・ガバナンスの整備が浸透し、社外取締役を置く事が当たり前となった昨今だが、実は海外子会社は未だガバナンスが整備されていない場合が多い。海外事業の重要性が増しており、また海外事業は国内よりも大きなリスクを抱えている事を考えると海外子会社にも社外取締役を置き有効なガバナンスを整備する事が必須である思われる。現在弊社が務めているアメリカ・イギリス・オランダでの社外取締役業務を振り返り、海外での社外取締役の役割を『攻め』と『守り』の2回に分けて整理してみたい。

『攻め』の役割① 客観的経営管理

海外子会社では長期間同じ顔ぶれで経営が行われている事が多く、概念や経営手法が固定されがちである。特に欧米の現地経営陣は自国で自分達がやってきたやり方にプライドを持っている事が多く、変化を受け入れたがらない傾向がある。外部の視点を入れる事によって「なぜ変えられないのか?」「このマーケットにはなぜ入っていかないのか?」「その地域は十分に攻めきったと言えるのか?」「プロモーション費用をもっとかけてでも売上増を狙うべきではないのか?」などの客観的な疑問を提示する事ができる。「この国は日本とは違うんだ。」「俺たちには俺たちのやり方があるんだ」という現地経営陣からよく出る常套句に社外の者が「なぜ?」を突きつける事で、固定化された海外子会社経営の殻を破り客観的に合理的な経営管理を行えるようにする事が求められる役割となる。
『攻め』の役割② コスト削減(費用の妥当性)

「この国ではこれくらいの給与や待遇が妥当だ。」「弁護士にはこれくらいの費用がかかるのが普通だ。」様々な費用に疑問を持ったとしても『こっちではこれが普通』と言われてしまうと仕方がないと諦めてしまいがちだ。現地のビジネスの『普通』を知る社外取締役であれば、これらの費用が本当に妥当なのか、削減する選択肢が他にないのかなどを判断する事ができる。聖域のないコスト検証を行い経費を節減し利益増に貢献する事が求められる。

ガバナンスというと不正防止の方にフォーカスが行きがちだが、売上を上げたり利益を増やしたりする攻めの役割も重要だと思われる。次回は『守り』の役割について整理したい。
ROIの経営感覚を身につける

例えば営業部門であれば売上をどれだけ上げるかのみが関心で、経費は使えれば使えるだけ良いという感覚になりがちだ。しかしZBBでコストを積み上げていく際にはどうしても「このコストは本当に必要なのか?」という事を気にせざるを得ない。積み上げた以上その理由を問われれば説明できないといけないからだ。そのプロセスを繰り返していくうちに「うちは今期は売上は横ばいだったが、コストをこれだけ削減して利益は大きく伸ばした」という事も言えるようになる。更にこのZBBの文化が根付くと本当に有効なコストのみを選択するようになっていき、経営者的なROIの感覚が浸透していくらしい。毎年全社でZBBの作業を行うのは大変な事ではあるが、それ以上の効果が期待できるようだ。面倒な作業を好まない欧米で最近ZBBが流行しているのは、このような理由なのかもしれない。
中小事務所の強い味方

今まで中小事務所は監査シーズンにたくさんのスタッフが必要で、しかし一度確保してしまうとシーズンオフに人員過多となってしまうというジレンマを抱えていた。しかしこのAIサービスを使えばハイシーズンの人員需要を少なく抑える事ができる。これは中小事務所にとって強い味方になりそうだ。今後は大手向けだけではなく中小向けのこのようなAIやロボティクスサービスもどんどん登場してくるかもしれない。

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