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ワークダイバーシティ

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【海外トレンド発信】Brixit直後の一ヶ月

2021年3月8日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

ギリギリでEUとの『合意なき離脱』を逃れたイギリスだが、Brixit後の最初の一ヶ月となった月はやはり大混乱であった。

ロジスティクスが火の車
EU諸国との間で関税がかかる事は回避できたが、それでも今までとは大きく違う。今までは一国内でのモノの動きだったものが一ヶ月後からは『他国からの輸入』という扱いになる。当然そのためのペーパーワークが発生するのだが、即席でできた制度なので正しい手続きを知っている人が殆どいない。税関の人達でさえ手探り感がある状態なので、運送業者も輸出業者も正しい手続きがわらかない。書類を見る側の人手も足りないので完全にボトルネックになり『モノが動かない』という事態が発生した。
トラック輸送が完全に機能停止
ヨーロッパでは国際便でもトラックによる輸送が一般的で、陸続きでないイギリスでもトンネル経由でヨーロッパから色々なものがトラックで運ばれてくる事が多い。ところが、今まで無かった税関がこのトンネルの端にできてしまったから大混乱。イギリスに入る側もフランスに入る側もトラックが長蛇の列になり全く動かなくなってしまった。色々な所から来るトラックドライバーが正しい輸出入書類を用意しているなどという事は稀で、書類でひっかかって動けない。更にはそこにドライバーの入出国審査も加わるので2重の混乱となった。
トンネルを抜けたらパンは捨てる
今まではイギリスからフランスに車で行くにはトンネルを抜けてそのまま入る事ができた。しかし今度は税関がありイミグレーションがあり、そこで入国手続きを受けなくてはならない。またフランスに入国する歳には正当な手続きなしに食べ物等を持ち込めないので、車の中で持っていたコーヒーやサンドイッチなどを全て税関で捨てなくてはならないなどというおかしな事態も起こっている。

私の顧問先企業もイタリアからの仕入れ品が全く入って来なくなり大混乱。更にEU諸国向けの商品配送も税関を抜けられずに滞り顧客に迷惑をかけてしまっている状況だ。この状況が改善されるのは半年後か一年後か。イギリスのビジネスに大きな悪影響が出てしまいそうだ。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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