• TOP
  • ≫ ワークダイバーシティ

ワークダイバーシティ

会計ダイバーシティでは働き方の多様性(ワークダイバーシティ)を支援しております。
勤務をしていると、現職の業務中心でなかなか他業界、異職種の情報は入り難いことと思います。
様々な職種(業務内容)や勤務スタイル、海外勤務例などを紹介してまいります。ご自身の今後のキャリア形成の参考として頂けますと幸いです。

【海外トレンド発信】ビジネス保険はパンデミックの損失をカバーするのか?

2021年3月18日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

ビジネス保険は業務上の様々なリスクをカバーするための保険だ。在庫や機械などの損失に備えたり、輸送中の事故に備えたり、従業員の労災に備えたり、第三者からの訴訟に備えたり、最近ではサイバー犯罪の損失をカバーする条項もある。そこで最近話題となっているのが『パンデミックによる事業損失』はビジネス保険でカバーされるのか?という事だ。もしこれが現行の保険でカバーされるとしたら、あっという間に保険会社は破綻してしまうと思うが、保険の内容によってはカバーされ得る可能性もあるらしい。

鍵となるのはPerils条項

ビジネス保険には通常Perils(危機時の対応)という条項があるが、そこに『何らかの理由でビジネスができない場合の損失』をカバーする条項が含まれているケースがある。通常は火災や洪水や地震などにより業務続行が不可能な場合に、その間に得られるはずであった利益を補填をするというものだ。となると『コロナによる政府からの制限で業務ができないレストランや小売店はこの保険の対象になるのではないか?』という議論が出てくる。苦しい経営状態が続くビジネスオーナーにとって救世主のような話なので大きな話題となった。
保険請求をトライする価値あり

もしPerils条項に業務ができない場合の損失をカバーする内容が含まれている場合、まずはその対象が火災などの不可抗力に限定されているかが重要のようだ。ただ、もし不可抗力に限られていたとしても『コロナは不可抗力じゃないのか?』という議論もある。過去の判例では、自社が火災に遭ったわけではなくても、取引先が火災に遭い仕入れができなくなった事により自社の業務ができなかったという場合でも保険請求が認められたケースもあるらしい。そう考えるとコロナという天災により政府が業務制限を発動し、それにより損失を被ったという事にも成り得る。まずは保険の内容をしっかりと確認し、可能性があれば代理店を通して正式に保険請求をしてみるのが良いようだ。


念の為私が取締役をしているシカゴの会社の保険の内容を確認してみたところ、Perilsの中に業務停止中の損害をカバーする内容が含まれていた。この会社の場合はパンデミック中でも業績が良く損失がなかったため保険請求の対象にはならないが、もし損失を被っていたら保険請求できる状況ではあった。本来は保険代理店が内容を確認して各顧客企業に教えて欲しい事ではあるが、代理店も保険会社との関係があり、また保険請求によってフィーを課金するモデルではないので、知っていても黙っているケースが多いようだ。ビジネス保険は内容が複雑で分厚いファイルに入っているのでなかなか内容を細かく確認するのが大変だが、きちんと確認しておいた方が良いなと思う一件であった。
第2弾もフィンテック勢が躍進
前回は大手銀行がオンラインでの申込みシステムを用意するのに相当ジタバタし、PaypalやQuickbooksなどの新興フィンテック勢が銀行免許を獲得して大いに活躍した。オンラインに特化している分効率よくわかりやすいサイトを作成し、多くのユーザーを獲得した。今回の第2弾もルールが変わったためローン申し込みウエブサイトも変更の必要があり大手銀行は再びモタモタしてしまったが、フィンテック勢は速やかに専用ウエブサイトを開設した。これにより恐らくまた多くの顧客を大手銀行から奪ったのではないだろうか。

弊社の顧問先も全て、無事Paypal経由でPPPローンの申し込みを完了したが今後どのような手続きでローンの免除手続きを行う事になるのかが気になるところだ。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
●●
ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

ワークダイバーシティ記事一覧

※ 過去のワークダイバーシティ記事一覧はコチラからご覧ください。