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【海外トレンド発信】イギリスでブレイク中のパートタイム雇用

2020年10月7日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

「申し訳ないが、来月からパートタイム雇用になってもらえないか?来るのは週2日でいいので、給与は今の半分にさせてもらえないか?」私のイギリスの顧問先企業で、数人の従業員にこのようなお願いをした。給与が半分になるなんて普通なら受け入れられない。しかし会社もパンデミックの影響がありいくばくかのリストラは避けられない。こんな状況で解雇をするのはあまりにも酷いので、パートタイムへの切り替えは雇用者側にとって唯一取れる苦肉の策だった。彼らがどう反応するか、彼らはそれで生きていけるのかなどを心配しつつ、恐る恐るお願いしてみたところ、彼らの答えは意外なものであった。「そうですか。いいですよ。週2日なのに半分もらえるんですか?それは嬉しいです。」また別のスタッフはこうも言ってきた。「いや、実は自分からパートタイムになるお願いをしようと思っていたところだったんですよ。いやぁ良かったです。」一体何が起こっているのだろうか?

人材市場はパートタイムバブル
詳しく話を聞いてみると、今イギリスではパートタイムの人材需要が急増しており、その割に供給側が追いつかないのでちょっとした“パートタイムバブル”が起こっているという事だった。特に会計やITなど、今まではフルタイムスタッフが主流だった専門職ではパートタイムで働く人達が少ないのでバブルが加熱し、通常時の1.5倍程の給与レートになっているらしい。。
パートタイムを数多く雇うという新発想
パンデミックで一度リストラを行った企業達は、今はフルタイム雇用よりもパートタイムを数多く雇うという方向に動く企業が多いらしい。まだ先が見えない状況なのでパートタイムの方が調整が効くという面もあるが、それ以上に一つの業務を複数人でカバーする方が業務が安定しリスクが少ないとの考えからだそうだ。一人でやる方が効率は良さそうにも思うが、一人の場合もし雇用後にその人がうまく機能しない事がわかっても、解雇したり再雇用したり再教育したりするのは時間も費用もかかる。そう考えると二人いればお互いがカバーしあったり半分だけ取り替えたりもできるので、業務が安定するという事のようだ。。
テレワークの浸透もアクセル役に
パートタイムになる彼らの話では、今やテレワークでできるパートタイムの高額報酬案件が多くあり、皆2~3件掛け持ちして仕事をしているそうだ。全て合わせると今の給与の倍近くになる人もいるらしい。しかも3件あれば彼らもリスクを軽減できる。働いてみて合わなかったりしたらまた一つだけ変えればいいという事で、彼らのワークライフバランスも安定するという事だ。

今までも、会社の中で複数部署を掛け持ちなどという事はよくあった。特に役職者の場合複数部署を受け持つ人は結構多い。これからは部署ではなく複数の会社を兼務し勤務先のポートフォリオの一部を組み替えながらキャリアアップしていくという生き方が増えていくのかもしれない。

翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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