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【米国のトレンド発信】RPAで変わる経理業務(在庫戦略)

2017年5月22日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)は人に代わってパソコンでの業務を行ってくれるソフトウエアだが、今回はこれを使う事により劇的に効率を挙げる事ができる業務例について考えてみたい。
過剰在庫&キャッシュ不足の悩み

米国の企業は製造を他国に頼る場合が多いため、発注してからその在庫が届くまでに数ヶ月のリードタイムが必要となる場合がある。その場合リードタイム分の在庫を持っておくためにどうしても過剰在庫となりやすい。特に数百種類の商品を扱う企業では各々の商品の出荷トレンドを追いきれず、欠品リスクを恐れて多めに発注してしまうためあり得ない程の在庫を抱えていたり、殆ど売れない商品の在庫が溜まっていたりといった事故が頻発する。当然その分キャッシュが圧迫されるためいつも『キャッシュが足りない・・』という悩みを持ち続ける。弊社のクライアントでも在庫量を減らす事に関心がない企業はないというくらい、経営陣にとって大きな課題となっている。
在庫削減の本質

EOQモデルや、DBMモデルなど様々な在庫管理方法があるが、それらはあくまでもフォーミュラ(公式)でありその本質ではない。全ては『将来の出荷予測の精度をいかに上げるか?』にかかっている。極端な話、正確に売れる量を予測できるのであれば、在庫は殆ど持たなくても売れるだけ仕入れれば良いからだ。しかし将来の予測はそう単純な話ではない。ERPで全てを正確に管理できている大企業ならその精度も高くなるが、CRMシステムと在庫管理システムを別に持っている企業や、CRMと会計システムを別に持っていて在庫管理はエクセルで行っている企業などではそうはいかない。それぞれのデータを適切に連動させない限り正確な予測は難しいからだ。
現状は多くの場合エクセル経由

過去の出荷トレンドと在庫量の推移を正確に把握するには、会計システムか在庫管理システムから過去の各商品毎の出荷状況を追い、それを分析する必要がある。また、将来の出荷に関してはCRMシステムから過去にはなかったような将来のトレンドを抽出し、それを仕入発注に反映させないといけない。各システムのデータが連動していない場合、一度エクセルに落としてエクセルでデータを連結して分析するというケーズが多いだろう。出荷頻度が多い企業の場合毎回この作業を誰かが行わないといけない。
どうしても手作業になる→RPAの出番

この『毎回やらなければいけない』という業務はRPAで代替するととても効率が上がる可能性がある。特に他のシステムと全く連携できない古いシステムを使っている企業にとっては、どんなに古いシステムであっても動かしてくれるRPAであれば、今のまま業務を効率化する事ができる。各システムからデータを落としてきて、データを加工し分析ファイルにコピペ。その後はエクセルの関数やピボットやマクロを使い自動化すれば良い。これをRPAでプログラムできれば、商品が何千種類あろうと、毎日在庫分析が必要であろうと、人手をかけず業務を完遂することができる。

古いシステムを使っている→RPAの効果絶大

今回の在庫戦略に限らず、複数のシステムのデータが繋がっていない場合、RPAを使うと大きく効率が上がる。『誰かが繋がないといけない』という役割をRPAが担ってくれるからだ。本来はERPで全てのデータが繋がっているのが理想であるし、そうでないとしても新しいシステムなら相互にシンクできる場合が多い。しかし現実にはその企業特有の事情で昔ながらのシステムや独自に開発したシステムを使い続けている企業は多い。ERPを導入している企業でさえ、一部の古いシステムとERPを繋ぐためのシステムをまた新たに開発したりしてまで、昔のやり方を変えられない(または変えにくい)という場合もあるくらいだ。こういう場合にヒトの代わりにRPAを使えば『今のシステムのまま』業務を効率化する事が可能となる。ヒトは毎回の同じ作業はRPAに任せ、RPAの設定やデータ精度の改善や微調整に集中することになる。


エクセルの関数やマクロを駆使して複雑な集計や分析作業を毎月やっていた人はそれだけで『有能感』を醸し出せた時代もあったが、これからはそうでもなくなりそうだ。毎回同じ作業をしていたら「なぜ君はRPAを使わないの?」と言われてしまう時代も、もうすぐそこに来ているのかもしれない。

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