• TOP
  • ≫ ワークダイバーシティ

ワークダイバーシティ

会計ダイバーシティでは働き方の多様性(ワークダイバーシティ)を支援しております。
勤務をしていると、現職の業務中心でなかなか他業界、異職種の情報は入り難いことと思います。
様々な職種(業務内容)や勤務スタイル、海外勤務例などを紹介してまいります。ご自身の今後のキャリア形成の参考として頂けますと幸いです。

【海外トレンド発信】コロナ援助ローン第2弾開幕

2021年3月12日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

アメリカ政府からの企業支援ローン(PPPローン)の第2弾がいよいよスタートした。PPPローンは従業員給与の2.5ヶ月分を融資してくれるローンで、実際に給与として支払えば返済を免除される。ローンという名の補助金に近い救済策だ。コロナがなかなか収束せず2.5ヶ月分などとっくに使ってしまった企業が多い中で、さらなる救済をという事で第2弾の予算が組まれスタートする事になった。

第1弾からルール変更 しかし・・
前回のPPPローンでは従業員の多い大企業がごっそりとPPPローンを獲得してしまい予算があっという間に底をついたという事件が起こった。またコロナの影響がなかったり巣ごもり需要でかえって業績を上げている企業でもPPPローンを獲得する事ができてしまったため、不公平感が盛り上がっていた。それを回避するために今回は実際に売上が25%以上下がった企業しかPPPローンに応募できないというルールに変更された。議会で承認される前から巷では「この25%というのはどういう風に計算するのか??」という事が話題になっていたが、蓋を開けてみたらとてもシンプルなものだった。2020年と2019年の各四半期を比較して、1つでも25%以上売上が下がった四半期があれば応募可能というものだ。
どうチェックするのかは謎のまま
四半期売上で比較するとなると、会計上で計上時期をずらせばいくらでも操作できてしまう。恐らく会計上の数字ではなくキャッシュベースの受領金額で計算させるのではないかと思うが、その辺の詳細は未だ謎のままだ。ローンは発行し、ローン金額を免除する審査の段階で詳しいエビデンスを提出する事になるらしい。しかしどんなエビデンスが必要なのかはわからない。銀行のステイトメントを提出するとしても、月の売上金額をその中から拾い出してチェックするなど、大変過ぎてできようはずがない。
第2弾もフィンテック勢が躍進
前回は大手銀行がオンラインでの申込みシステムを用意するのに相当ジタバタし、PaypalやQuickbooksなどの新興フィンテック勢が銀行免許を獲得して大いに活躍した。オンラインに特化している分効率よくわかりやすいサイトを作成し、多くのユーザーを獲得した。今回の第2弾もルールが変わったためローン申し込みウエブサイトも変更の必要があり大手銀行は再びモタモタしてしまったが、フィンテック勢は速やかに専用ウエブサイトを開設した。これにより恐らくまた多くの顧客を大手銀行から奪ったのではないだろうか。

弊社の顧問先も全て、無事Paypal経由でPPPローンの申し込みを完了したが今後どのような手続きでローンの免除手続きを行う事になるのかが気になるところだ。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
●●
ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

ワークダイバーシティ記事一覧

※ 過去のワークダイバーシティ記事一覧はコチラからご覧ください。