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【海外トレンド発信】中小企業のガバナンス強化がアメリカで流行中

2021年3月10日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

日本では上場企業のガバナンス強化が国や東証などにより進められているが、アメリカでは最近中小企業が自発的にガバナンスを強化しようとする動きがある。具体的には、外部から社外取締役を招聘し自社の経営に活かそうという動きだ。オーナー企業が多い中小企業では今まで社外取締役を入れようなどという動きはあまり目立たなかった。融資銀行から言われて半強制的にお目付け役の取締役を入れるくらいしか社外取締役の出る幕はなかった。しかし最近ではある原因によって自発的に社外を入れようという動きが出てきている。

流行の理由はIT
上場企業の場合はルール上のプレッシャーや、株主からの要望など、どちらかというと外的要因から社外取締役を入れる場合が多い。ところが中小企業にはそのような外的要因はない。あくまでも自発的な動きだ。なぜこのようなトレンドが起こっているのかというと、最近出始めたウエブサービスのおかげで中小企業が気軽にアドバイザーや取締役など社外のリソースを活用できるようになったからだ。代表的なウエブサービスであるAdvisory Cloudなどは急速に存在感を増してきている。



Advisory Cloud
https://www.advisorycloud.com/
頻繁に届くインビテーション
数年前からLinkedin経由で「社外取締役をやりませんか?」という誘いのメッセージが度々届いていた。恐らく会計領域の資格を持っている人などをターゲットにして無差別にダイレクトメッセージを送っていたのだろう。最初は一社からの誘いだったがそのうち複数の会社から誘いが来るようになり、その頻度は日を追う毎に増していった。そして数ヶ月前にはFacebookのフィードにAdvisory Cloudの広告が入ってきた。『Facebookで広告を打つほどの業界になってきたのか・・』と興味を引かれクリックすると、そこは想像以上の盛り上がりを見せていた。。
クラウド上で取締役会
このAdvisory Cloudは、クラウド上で候補者の紹介から取締役会を行うオンライン会議のプラットフォームまで提供するサービスだ。コロナの影響でリモート会議が当たり前になったことも盛り上がりの一因かもしれない。大企業から中小企業まで様々な企業がこのサービスを使って社外のリソースを活用している。クラウド上という事はその会社の会議室に行く必要がない。これは非常に大きい。例えば企業や会計事務所などに勤務している人は今までこのようなニーズがあってもそれに応える事ができなかった。しかし今はテレワークの場合が多く副業も当たり前になりつつあるので、他社の取締役会にどこからでも参加する事ができてしまう。需要側にとっても供給側にとってもクラウドの利用で一気に垣根が下がった。

中小企業はオーナーや経営者のワンマン経営の場合が多いが、社外のリソースを経営に活用する文化が育まれるとより健全で成長性の高い経営ができるのではないだろうか。今後更にこの動きが盛り上がっていく事に期待したい。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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