• TOP
  • ≫ ワークダイバーシティ

ワークダイバーシティ

会計ダイバーシティでは働き方の多様性(ワークダイバーシティ)を支援しております。
勤務をしていると、現職の業務中心でなかなか他業界、異職種の情報は入り難いことと思います。
様々な職種(業務内容)や勤務スタイル、海外勤務例などを紹介してまいります。ご自身の今後のキャリア形成の参考として頂けますと幸いです。

【海外トレンド発信】アメリカの企業を襲う『コロナ持ち帰り訴訟』

2020年11月17日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

私が住んでいるイリノイ州で、アメリカ初の'Take home' lawsuits(コロナ持ち帰り訴訟)が起こって話題となっている。従業員が職場でコロナに感染し被害を被ったなら当然雇用主を訴える事ができるが、この訴訟はそうではない。コロナ対策を怠っていた企業に出入りをした人がコロナウイルスを家に持ち帰り、家族が感染して被害を被ったというケースだ。つまり原告被害者と被告企業は直接的には雇用関係も契約関係もないという間での訴訟となる。
家族感染で母親が死亡
イリノイ州に住むエスペランザさんがこの訴訟を州の裁判所に提訴した。しかし被害者はエスペランザさんではない。エスペランザさんの母親だ。コロナウイルスに家庭内感染し亡くなってしまったのだ。エスペランザさんが訴えたのはオーロラパッキング社という食肉工場だ。と言ってもエスペランザさんがここで働いていたわけではない。彼女の父親がコントラクター(業務委託)としてその企業に出入りしていたのだ。同社の初期のコロナ対策が不十分であったため父親に感染し、その後家庭内で母親に感染してしまったという事だ。


争点はコロナ対策が十分であったか否か
企業側は合理的なコロナ対策を行っていたとの抗弁をしているが、どのレベルが合理的なのか、いつからその措置を始めていればよかったのかなどはとても難しい。それにそもそも父親は本当にその会社で感染したのか、別の場所で感染したのかも断定する事は不可能だ。食肉工場だけに相応の措置はしていたと思われるが、大手食品企業の工場でもコロナ感染者が出て製造がストップした事もあるくらいなので、完全にコロナフリーの環境を作るのは難しいだろう。企業側の落ち度を何か証明されれば、状況からしてそれが原因という判断になる可能性も高い。
企業側で高まるコロナリスク
企業のコロナ対策への意識は地域によっても人によっても千差万別で、完璧というには程遠い企業の方が多いだろう。イリノイ州やウィスコンシン州にある私のクライアント企業でも、職場でマスクをしている人は数える程だ。この状態で誰かが感染し、職場内感染から家庭内感染へと進んでいき誰かが亡くなった場合「あの会社の職場環境のせいだ」と考えられても不思議はない。この訴訟のニュースが話題となった今では、多くの人がそう考えるのではないだろうか。当然それを先読みして『成功報酬のみでコロナ持ち帰り訴訟を請負いますよ』とテレビCMを打ってくる弁護士達も出てくるだろう。そうなるとダメ元でも訴えてみようという人達が大勢出てくる可能性もある。

今後雇用主はコロナ対策に万全を期し、その記録を証拠としてとっておくような措置が必要になってくるだろう。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
●●
ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

ワークダイバーシティ記事一覧

※ 過去のワークダイバーシティ記事一覧はコチラからご覧ください。