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ワークダイバーシティ

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【海外トレンド発信】アメリカのワクチン接種システム

2021年6月8日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

4月にアメリカではワクチン接種が一気に広まり、私も一発目と二発目の接種を完了した。会計とは関係ないが、とても面白いシステムだったので紹介したい。
オンライン予約でスクリーニング
まずは自分の地域(郡)のオンラインサイトで自分の個人情報や属性を登録する。すると自分が何番目の優先順位がわかり、それに従って順番が来たらEメールで通知が来るようになっている。通知が来たらオンライン上で空きスポットがある日時を予約し、予約確認のQRコードをEメールで受け取る。当日はそのQRコードを持参する(スマホで見せるのが一般的)。
一発目はドライブスルー
会場に行ってみると、駐車場の中で車が長蛇の列となっていた。「予約制なのに、おかしいな?」と思っていると列はどんどん進んであっという間に大きな倉庫の中へ誘導された。「なぜ車ごと倉庫に入るのかな?」と思いつつ入ってみると、その建物の中には何列にも並んで車がビッシリ。そしてその両端にはワクチンを接種する看護師がズラリと並ぶ。フォードの自動車工場のような様相だ。位置につくとまずは問診担当の看護師が様々な質問をする。それに答えると「じゃああなたはファイザーね」と言われ注射担当に引き継ぎ。注射担当の看護師が車のドア越しにブスッと接種。終わったらその看護師が手を挙げて合図。列の看護師の手が全て挙がったらその列は完了という事で、その列の車全て(20台ほど)が外へ誘導され、新しい車が中へと入れられる。工場のバッチ処理というか、F1のピットイン作業のような接種だった。
一発目の副反応はマイルド
接種後は打った場所が少し筋肉痛のように痛んだが、2日ほどで取れた。ところが2日後くらいに倦怠感がやってきた。風邪から治る時のように、汗をかいたりダルかったり。しかし翌日には元気になる程度のマイルドな副反応だった。周りの人達では概ね半数が似たような副反応を感じたらしい。


二発目はウォークイン
3週間後に二発目の接種に行くと、今度は普通に駐車場に車をとめてウォークインで建物に入った。入り口でQRコードをスキャンすると「はい、じゃあ53番に行ってください」と言われ広大な会場を見渡すと、遠くの方に53番という旗を挙げている看護師が見えた。恐らく100番以上の接種ステーションがあったと思う。53番に着くと、前回と同様問診が行われ、そのまま接種。終了すると15分の待機エリアに誘導され、15分経った人から退場。聞くところによると、二発目は前回より接種者が多い(一回目の人と二回目の人が混ざるため)ので、ドライブスルーでは対応できないという事で急遽ウォークインに変えたそうだ。たったの3週間でここまでガラッとシステムを変えられるとは凄いと関心させられた。
二発目の副反応は少しハード
今度は接種翌日に37度超の発熱があり一日寝込む事となった。しかし多くの人がそうだったように、二日目には回復して通常通りとなった。

二回のワクチン接種をして驚いた事がいくつかあった。一つは日頃は(日本人に比べて)いい加減なアメリカ人達が、見事にシステマティックな接種体制を整えて、まさにF1のピットストップのように効率的な接種を行っていた事だ。状況に応じて素早くドライブするーからウォークインにシステムを大変更したのも驚きだった。そしてもう一つはボランティアの多さと素晴らしさだった。車を誘導する人も摂取する看護師も、軍の関係者とボランティアでまかなわれていた。その数は膨大な数だがこれだけ多くの人がボランティアとして素早く集結する事に感銘した。また、ボランティアは自発的に参加しているためか、一般の病院などよりも親切でハツラツと明るい対応をしていて、とても気持ちよく接種を受ける事ができた。このような光景を目の当たりにすると、自分も何かコミュニティーに貢献しないといけないなという気分になった。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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